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手足が痩せ細り、腹水により腹部が大きく脹れ、
最終的に死に至る感染症
 
●原因究明
1881年(明治14年)、山梨県東山梨郡春日居村(現在の笛吹市)が
山梨県に嘆願書を提出
山梨県は、数名の医師を派遣、調査を開始した
しかし謎の病気の原因には辿り着かなった
1897年(明治30年)、ひとりの女性 杉山なかさんが、
この世を去る2日前に死亡解剖の嘆願書を提出
“この身を解剖し その病因を探求して 他日の資料に供せられることを得られるのなら
私は死して瞑目できましょう”
村を病気から救うため死んだ後、
解剖してほしいという願いだった
解剖した医師が見たのは、
謎の卵がびっしりと植え付けられていた肝臓
1904年(明治37年)、ようやく卵の親の正体を突き止めた
それは1㎝ほどの虫、日本住血吸虫と名付けられた
 
杉浦醫院(山梨県中巨摩郡昭和町西条新田850-15)では、
感染症の記録を保管している
 
●感染ルート
感染者の共通点は、米を作る農家や
川遊びをする子供たちに感染者が多かった
 
1913年(大正11年)寄生虫学者の宮入慶之助が、
ついに宿主を突き止めた
それは、ミヤイリガイと名付けられた巻貝
孵化したばかりの日本住血吸虫は、
哺乳類に寄生できないため、
ミヤイリガイの中で体を大きくする
哺乳類への寄生方法を突き止めるため、動物実験を行った
一方には水を飲ませ、もう一方には水に浸した
その結果、水を飲ませた方は感染せず、
水に浸した方は100%感染することが判明した
 
ミヤイリガイの中で成長した日本住血吸虫は、
水中で自由に泳ぎ回り、人間の皮膚を溶かして体内に入り込む
後は、卵を産み続け、卵が血流にのり、
内臓に至ると炎症でお腹を膨れさせる
 
●30年にわたる駆除活動
寄生虫の宿主であるミヤイリガイを
駆除するために、全ての水路をコンクリート化
この工事は、30年間続けられ、総工費は80億円以上
他にも火炎放射、石灰散布などミヤイリガイを駆除し続けた
 
そして調査開始から115年後、
1996年(平成8年)に終息宣言が出された
 
日本住血吸虫の感染症は、世界で
毎年5万人以上の死者を出している
撲滅できたのは、日本だけ

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